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2015.02.24 [著者メッセージ]
こども論語塾-著者メッセージ:安岡定子

今なぜお子様に『論語』か!

 目には見えないもの。形のないもの言葉ではうまく説明できないもの。そんなものの中にこそ、大切なものがたくさんあります。思いやり、優しい気持ち、感動する心。あるいは悲しみや困難を乗り越える力など…。『論語』には、そのような大切ものを育む言葉が収められています。繰り返し読むことで、『論語』の持つ不思議な力が、心の奥深くに、静かに蓄積されていきます。それはやがて思いがけない形でふと現れて、その人の支えとなり助けとなるでしょう。 

  「素読」とは、声を出して元気に読み上げることです。意味は分からなくても構いません。繰り返し読んでいるうちに、心に染みこんでいき、その言葉の持つ魅力に気づいていきます。慌ただしい日々の中で、お子さんと一緒に古典の世界に浸る、ゆったりとしたひとときを持ってほしいと思います。

目に見える結果だけを求めるのではなく、急いで成果を求めるのでもなく。大人のほんの少しの心遣いと手間で、お子さんは大きく変わります。

  孔子先生が最も重んじたのは「仁」つまり「思いやりの心」です。「思いやりの心」とは、自分自身を大切に思い、それと同じくらい、他人のことを大切に思えるということです。
2500年の時を経ても、人間にとって大事なことは変わりません。『論語』の言葉は、私たちが今まで忘れていたものを、思い出させてくれます。是非お子さんと一緒に、楽しんで下さい。


名文ばかりです!

 『こども論語塾 その2』では、『論語』の中から新たに20章を選びました。
今回も名文ばかりです。まず大きな声で素読してみて下さい。親子で、おじい様・おばあ様とお孫さんとで、あるいは兄弟姉妹で。漢文独特の美しいリズムが、体や心の奥まで響くでしょう。声を出して読むことの心地よさを感じられることでしょう。

 『こども論語塾 その2』は前著に比べると、少し長めの文章も選びました。お子さんの身近にいる大人の方が、一緒に読んであげて下さい。解説文にも、お子さんの日常に即した言葉を添えてお話してあげて下さい。お子さんとの会話を通して、『論語』に親しみを感じて頂けたら嬉しく思います。

 『論語』の言葉は、不思議な魅力に満ちています。たとえ短い一文であってもその奥には深く豊かな世界が広がっています。素読によって心に蓄積された名文は、気づかぬうちに大きな生きる力となっていくことでしょう。

 それぞれのご家庭でお気に入りのページを広げながら、元気に素読し、皆さんで楽しいひとときを過ごして頂けたら、これ以上の幸せはありません。


『こども論語塾 その3』 

 『こども論語塾』『こども論語塾 その2』に続き、『こども論語塾 その3』でも新たに20章を選びました。2500年という時を経ても、なお色褪せることのない名文・名言ばかりです。繰り返し声を出して読むことで、体の中にしみ込んでいきます。やがてその数々の名文は、その人が学んできたものや人生経験と重なり合い、熟成されていきます。
 困難にぶつかった時、大きな決断をしなければならない時、あるいは寂しい時、悲しい時に、その熟成された言葉が助けとなるでしょう。
 『論語』の言葉は、簡潔な一行の奥に、深く豊かな世界が広がっています。読む人の心情により、様々な受け止め方ができます。幼い頃に音で覚えた名文。大人になってから読む名文。さらに人生経験を重ねて読む名文。それぞれに味わいが違います。心の深い所に触れて、私たちの心を落ち着かせてくれます。時には励まし、勇気づけてもくれます。

 昨年2月に『こども論語塾』を出版して以来、保育園・幼稚園や小学校で、『論語』の素読の授業をさせて頂く機会が増えました。小さいお子さんとの素読は、一番楽しいひとときです。高く澄んだ声が響き合い、胸を打ちます。瞳を輝かせて、覚えた章句を大きな声で披露してくれる姿は、本当に可愛らしく感動的です。
 自分で考えて、自分で行動できる人。思いやりの気持ちを忘れずに、志に向かってがんばれる人。そして何よりも素敵な人になってほしいと、お子さんたちと接する時にはいつも願っています。
 『こども論語塾 その3』は、少し長く難しい内容の文章も取り上げました。お子さんと一緒に読んで下さる大人の方々が、身近な出来事などを例にして、お話ししてあげて下さい。『こども論語塾 その3』を読みながら、ご家族一緒にひとときを過ごして頂けたら、嬉しく思います。
 いくつになっても、そばにあり、ふと広げてみたくなるような、そんな一冊になれたら幸いです。

 

たとえこどもは意味は分からなくても、たちどころにそのリズムを覚えてしまい、親はその ことばの 深さに充実感を覚える。その時間を親子で重ねていく内に、こどもは、人を思い やったり、人の話 をしっかり聴くことができるように変化していきます。“心の教育は小さい時でないと間に合いません”。

 

安岡 定子

◇著者:安岡 定子

大漢学者、安岡正篤の孫。 二松学舎大学中国文学科卒。東京都文京区で開催している「文の京(ふみのみやこ) こど も論語塾」講師。心の教育がさけばれる現在、親子 が一緒 の時間をともにして、論語を素読する塾を主催。