通巻478号 (第37巻4号)
◆性と日本語
実社会で、ことばの性差が薄まる一方で、漫画や翻訳作品などでは、役割語として女性語や男性語が使われ続けている。また、トランスジェンダー、LGBT(性的少数者)に関する社会的な議論が盛んになってきているが、そこにはことばの問題も絡んでいよう。本誌では、1993年に「世界の女性語・日本の女性語」、2004年に「ジェンダーから見た日本語」を特集しているが、その後の十数年で、性への意識が変容するとともに、性と日本語の関わりにも変化が見られる。ジェンダーとセクシュアリティの両面から、日本語の現在を見つめ、歴史をふりかえる特集としたい。
○ジェンダーから見た日本語の現在 佐々木瑞枝
○日本語とセクシュアリティ 中村桃子
――異性愛規範、性的アイデンティティ、性的欲望――
○「おネエことば」とは何か クレア・マリィ
○翻訳・翻案作品とジェンダー標示表現 因京子
○ことばの規範とジェンダー 佐竹久仁子
――こどもたちが学ぶこと――
○女性語の歴史 松井利彦
――御所ことばから女房ことば、女中ことばへ――
【連載】
[ことばの散歩道] 井上史雄
[ことばのことばかり] はんざわかんいち
[漢字を追いかける]笹原宏之
[今日に息づく漢文のこころとことば]李軍
[百人一首を味わう]最果タヒ・枡野浩一