ライトノベル表現論

ライトノベル表現論
会話・創造・遊びのディスコースの考察

文体や表現の特徴とは何か。今私たちの生きる言語文化をライトノベルから読み解く。

購入 by Online

ネット書店で購入

  • Amazon
  • honto
  • 紀伊國屋書店
  • 楽天ブックス
  • bookfanプレミアム
  • HMV&BOOKS online
  • e-hon 全国書店ネットワーク
  • ヨドバシ.com
  • TSUTAYA online
  • Honya Club.com

店舗の在庫を確認

※ネット書店によっては取り扱いが無い場合があります。あらかじめご了承下さい。

2000年以降、読者を増やし続けているライトノベル。このライトノベルの文体や表現の特徴とは何か。どのような表現方法を駆使してどのような効果を狙い、読者にどうアピールしているのか。その過程で日本語がどのような姿で創造・消費されるようになってきたのか。この書き言葉のディスコースの中で起こる現象に焦点をあて、多角的な分析を試みる。現代の日本、特にポピュラーカルチャーの世界で、日本語はどのような機能を果たしているのか、今私たちの生きる言語文化をライトノベルから読み解く。

第1章 ライトノベルという現象
 ライトノベルの定義と種類
 歴史的背景
 ライトノベルの周辺 ノベライズとライトノベル化 マルチメディア展開
 ポストモダンとライトノベル
 近代文学の終わり
 自然主義的リアリズムからマンガ・アニメ的ライトノベルへ
 ジャンルとしてのライトノベル
 ライトノベルと非ライトノベル

第2章 ライトノベル表現の概観
 ライトノベルのコミュニケ-ション キャラ類型とキャラゴ インフォメーションからデータ・ベース・コミュニケーションへ
 ライトノベルの文体
 新言文一致タイから会話体文章へ
 作者の口調とイメージ
 指南書とのギャップ
 ライトノベル表現論を求めて
 本書の構成

第3章 考察の枠組みとデータ
 場交渉論
 ナラティブ理論:声の多重性と間テキスト性
 言語の主体・創造性・レトリック
 マルチモダリティ談話分析
 間ジャンル性
 分析方法とデータ

第4章 会話のスタイル
 会話らしい会話 言いよどみと言い直し つっかえ ポーズと驚き 共作と両属連鎖 聞き違いと問い直し
 キャラクター設定とキャラ語の創造性
 ツンデレとキャラ語
 会話内の借り物スタイル
 若者言葉の会話
 会話内のスタイルシフト
 マンガ・アニメ的誇張会話
 ライトノベルの会話性

第5章 語りのスタイル
 語りの視点と人称
 書き言葉で綴る語り
 心内文と心内会話
 語り部分のアイロニーとバリエーション
 心内会話のバリエーション
 見え隠れする語り手
 語り手が他者を意識する時
 語りと会話の間

第6章 語と談話の間
 段落の流動性
 1語段落
 段落末の陳述
 繰り返しの流動性
 語と文のくり返し
 談話レベルの繰り返し
 文の可変性
 ライトノベルの表現単位

第7章 オノマトペの展開
 オノマトペの特徴
 ライトノベルのオノマトペ
 オノマトペの音象徴的意味
 説明付きオノマトペ
 自演発話するオノマトペ
 『スレイヤーズせれくと1 ナーガの挑戦』のオノマトペ
 『撲殺天使ドクロちゃん』のオノマトペ オノマトペの使用 「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~♪」の効果
 会話からオノマトペへ
 オノマトペ化する語句
 オノマトペのマンガ風効果
 パロディー化されるオノマトペ
 多様化するオノマトペ

第8章 表記の操作
 カタカナ表記
 ライトノベルのカタカナ表記
 表記工夫
 表記変換
 『”文学少女”と死にたがりの道化』のフォント変換と間テキスト性
 情意表現としての表記

第9章 レトリック効果
 笑いのレトリック 笑いの重要性 ボケとツッコミ
 ライトノベルのツッコミと遊び
 他作品の言及とパロディー
 『”文学少女”と慟哭の巡礼者』のレトリック
 『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸』の語り方
 『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸』の間ジャンル性
 遊びと創造のレトリック

第10章 文章のビジュアル化
 記号の種類と特徴
 ライトノベルの記号と富豪
 文のビジュアル操作
 フォントサイズの操作
 ページレイアウトの効果
 談話構造の指標
 会話体文章のビジュアル化

第11章 キャラクターのマルチモーダル展開
 文章とイラストの交錯と融合
 ビジュアル情報の分析
 分析の枠組み
 『キノの旅』シリーズのキノ
 『”文学少女”』シリーズの天野遠子
 『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』シリーズのまーちゃん
 マルチモーダル表現の世界

第12章 ライトノベル比較対照
 対象分析とデータ
  マンガの分析方法
 『”文学少女”と死にたがりの道化』の比較
 『とらドラ!』の比較
 『撲殺天使ドクロちゃん』の比較
 ライトノベルとマンガの世界
 非ライトノベルの分析方法
 冒頭部分の比較
 会話部分の比較
 ライトノベルのジャンル性

第13章 ライトノベルの表現性
 ライトノベルと会話性
 会話体文章という環境
 「話す」文化と「書く」文化の間で
 ポピュラーカルチャーとポストモダン化する言語
 ライトノベル表現論の異議

泉子 K・メイナード

山梨県出身。AFS(アメリカン・フィールド・サービス)で米国に留学。甲府第一高等学校およびアイオワ州コーニング・ハイスクール卒業。東京外国語大学卒業後、再度渡米。1978年イリノイ大学シカゴ校より言語学修士号を、1980年ノースウェスタン大学より言語学博士号を取得。その後、ハワイ大学、コネティカット・カレッジ、ハーバード大学、プリンストン大学で教鞭をとる。ニュージャージー州立ラトガース大学日本語学・言語学教授。日本語プログラム主任。 主な著書に『談話分析の可能性:理論・方法・日本語の表
現性』(くろしお出版、1997)、『情意の言語学:「場交渉論」と日本語表現のパトス』(くろしお出版、2000)、 『談話言語学:日本語のディスコースを創造する構成・レトリック・
ストラテジーの研究』(くろしお出版、2004)『マルチジャンル談話論:間ジャンル性と意味の創造』(くろしお出版、2008)など。